CINEMA! 編集部オススメの映画情報 『センコロール コネクト』声優・下野紘さんに単独インタビュー
- SUeets! 編集部
取材:SUeets!編集部 小林風音(2年)、寺内聖理菜(2年)
※写真は札幌での舞台挨拶より 7月13日(土)@札幌シネマフロンティア
「自分の可能性を広げた特別な作品の一つです」
謎の白い生き物とそれを操る少年少女の物語を描いた短編アニメーション「センコロール コネクト」が公開された。約10年前、札幌在住の宇木敦哉が一人で制作し、独自の世界観でファンの熱狂的な指示を得た「センコロール」の続編として、公開前から話題になっていた本作。
主人公・テツ役を演じ、舞台挨拶のために来札した声優・下野紘さんにファンの二人がドキドキの単独インタビュー。作品への思いや学生へのアドバイスをいただきました。

© 宇木敦哉/アニプレックス
映画『センコロール コネクト』
監督・脚本・作画:宇木敦哉
音楽:ryo (supercell)
出演:花澤香菜、下野紘、木村良平、森谷里美、高森奈津美、赤羽根健治、他
※絶賛公開中
- Q1.アフレコを行ったのは2013年と聞きました。ようやく公開となりましたが、率直なお気持ちは?
- 待ちました、すごく待ちました!(笑)共演者とも「いつ公開されるんだろう?」「本当に公開されるのかな?」なんて話していました。もしかするとお蔵入りになるのでは…と思っていた矢先に公開が決まって、とてもうれしかったです。とはいえアフレコをしたのがあまりに前だったので、すっかり記憶から抜け落ちていまして。思わず「いつアフレコをするんですか?」と聞いてしまいましたね(笑)。
- Q2.テツを演じる上で意識したことはありますか?
- それまで僕が演じてきた役はとにかく元気で、個性の強いキャラクターばかりだったので、テツのように物静かで落ち着きのある人物に最初は戸惑いました。前作の製作時に、宇木監督から「アニメというより実写に近い形にしたい」とお話しをいただいたので、アニメのアフレコでよく見る呼吸を強調したアドリブ演技をやめたり、従来と違う演じ方とは何かを試行錯誤しましたね。あとから周りのスタッフに聞くと、どうやら目つきまで悪くなっていたようです(笑)。それほどテツになりきれたのは、よかったと思っています。
- Q3.下野さんにとってテツはある意味、挑戦だったんですね。
- そうですね。テツを演じたことで、役者としての自分の広がりを感じられたのは大きな収穫でした。それまでは、無口でクールなキャラクターは自分には演じられない、と勝手に決めつけていましたから。もっといろいろな役を演じたいと実感した作品なので、そういう意味では特別な作品の一つだと思っています。
- Q4.劇中では謎の白い生き物・センコを操るテツですが、テツにとってセンコはどういう存在だと思いますか?
- 難しい質問ですね。単にペットと飼い主という関係でもないし、不思議ですよね。でも今回、テツからセンコを意図せず奪ってしまう同級生・ユキに対する言動や、前作にも登場した巨大生物を連れて突然街に現れる少年・シュウへのある行動などから、テツのセンコに対する執着心は前作より強くなったと感じました。前作では見せなかった、テツのふとした笑顔も垣間見えたりして、よりセンコと親密になったというか。とはいえ、その理由はわからないのですが(笑)。
Q5.謎が残る仕上がりだと思いました。
- “なぜかわからないけど楽しい”と感じてもらえる作品ですよね。この生き物はなんだろう、この子たちはなんだろう、いろいろな“なんだろう?”が詰まっていて、心に引っかかりを与えてくれる。一度見ると不思議なハマり方をすると思います。前作のファンのみなさん、出演者のファンのみなさんはもちろんですが、この作品ちょっと気になるかも?と思った方にはぜひ見ていただきたいです。
- Q6.特に印象的なシーンはありますか?
- 本作から登場するカナメという新キャラクターと、テツが初めて学校の屋上で会うシーンです。見てはいけないものを見てしまった感覚。『ユキ、今は来ちゃダメ!』と勝手に思ってしまったり(笑)。『突然そんな要素を取り入れる!?』という驚きがありました。気になる方はぜひ劇場でご確認ください!
- Q7.テツやユキは高校生。まさに夢に向かって頑張る世代ともいえます。第一線で活躍し続ける下野さんが学生にアドバイスをされるとしたら、どんなことを伝えますか?
- 学生と社会人とでは、“個”の力をつける必要がある、というのが大きな違いだと感じます。今までは両親や友人、先生など誰かに頼ることが比較的容易だったと思いますが、社会に出れば自分一人で立ち向かい、乗り越えていかなければならないことが数多くあります。ただ、一人で頑張り過ぎないことも大切です。社会人になったから、一人前にならなきゃいけないからと、自分を追い詰める必要はない。十分な努力をした上で周りに助けを求めることは、僕は恥ずかしいことだと思いません。そうすることで学ぶこともたくさんあるし、失敗と反省を繰り返して大人になっていくものです。一人で頑張りながらも一人じゃない、周りには絶対に誰かがいる。そう信じることで成長につながるはずです!テツとユキの行く末はまだわからないけど、いつか、明確じゃなくとも納得できる未来が待っていたらいいなと思います。