張 偉雄先生 張 偉雄先生

2019.07.29 (Mon)

  • サツダイの先生

「東洋のリベラルアーツ」を身に付ける
張 偉雄先生

札幌大学
専門分野:比較文学・文化、異文化コミュニケーション

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<比較文学文化は具体的に何をしますか?>
比較文学文化と言うのは違う国、異なる文化が産出した文学、あるいは文化現象の比較を行うことです。比較することで一段と相手を理解でき、また、自分をもっと理解することにもつながります。相手あるいは自分自身が見直せるようになると、異なる民族間の理解を深められる。理解を深めたら色んなトラブルを避けられるというのが、基本的な学問の目的ですね。

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<語学を身に付けるには?>
私がすごく強調するものは「単純作業」です。感情を導入し、声に出しての朗読が大事です。一日一時間やると、だんだん朗読から話をするような感覚になってきて500字から1000字の文章を自然に覚えてしまう。覚えてしまえば使う場面を見つけ、誰かに聞いてもらう。これをやるとすぐに上達します。みなさんもこの方法を使ってみてくださいね。
<国を超え理解し合うには何が大切でしょうか?>
東洋には長い歴史の中で「共通の知」が形成されてきました。漢字文化圏で育まれた言葉と思想的なものです。宗教思想や孔子の考え方などは、日本人の精神的なよりどころになっています。そういう共通の文化を大事にすると互いに理解しやすいのではないでしょうか。若者たちには「温故知新」の手法で、それを今日に役立てる「東洋のリベラルアーツ」として身に付けてほしいです。

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Profile
中国の広州出身。大学で日本語や日本文化を学び、卒業後に日本へ留学。東京大学大学院「比較文学文化」を専攻し、修士・博士課程を修了。その後札幌大学に赴任。担当授業は、日中比較文学文化・中国語精読・日中通訳ガイド。’16年度まで札幌大学孔子学院学院長。
高校生へのメッセージ
コミュニケーション力を高め、異なる国の人や文化と楽しく交流できるようになってほしいです。大きく言えば島国文化と大陸文化の違いを理解し合うこと。島国の人間は以心伝心ができます。しかし、大陸で多様な民族を抱える地域は、自分の主張をはっきりと示さなければ永遠に曖昧なままです。互いの習慣を理解し、信頼関係を形成してくださいね。